あなたの愛は美しい

 

※執筆者は宙組の組ファンですが、今公演では退団されない生徒さんのファンの身でありながら下記の文章を書いております。ご不快に思われる方は閲覧をお控えいただけますようよろしくお願い致します。

 

 

 

 

 

『愛の真実』、初めて劇場で聴いた時からずっと大好きな曲。

サヨナラショーで歌ってくれたらたぶん大泣きするな、とか以前からずっと思っていたのですが実現してしまい、嬉しいやら困るやらやっぱり嬉しくてたまりません。案の定号泣しました。

 

 

 

私が出会った時には、かのちゃんはもう宙組トップ娘役さんとして大劇場2作目を迎えようとしていて。

2022年の年始、特番でたのしそうに笑う姿を見て、それまでライトヅカファンとしてぼんやり知っていた潤花さんのイメージと変わった。キレイなだけじゃなくて思っていたよりずっとずっと可愛らしさもあって、明るさで周りを元気にしてくれる太陽のような人。

私生活が死ぬほど忙しかった4月のあの日、ご縁を頼ってNeverSayGoodbyeを観に行くか悩んだ時、決め手になって理由のうちの一つ。

 

『潤花ちゃんの笑顔を見たい。元気をもらいに行きたい。』

 

結果、気の強さと危うさとがありながら芯のある大人の女性・キャサリンを演じる潤花さんに感動し、大好きな娘役さんの一人と呼ばせていただくようになった。

ここで記事冒頭に戻り……アギラールたちに薬を打たれた後、落ちていく意識に逆らいながら自身の想いを歌い上げるキャサリンに、わたしの心が震えた。

愛されることのときめき、愛することの喜びと苦しみ……「あなたが私を変えた」。誰しもが得られるわけではない愛の強さを、ジョルジュと出会って得たキャサリンが、真風さんと潤花さんに重なる。そして大好きなご贔屓様がいるファンの多くがきっと、強く共感しているだろう。私もそのひとり。

 

NeverSayGoodbyeHiGH&LOWMAKAZE IZMカジノ・ロワイヤルと4作品、真風さん潤花さんのトップコンビを劇場から見つめさせてもらえて、あぁわたしは幸せだったなぁと噛み締めながら聴いていた。

真風さんへ、まっすぐな想いを寄せていることを、私のようないち観客が見て感じられることの美しさといったら。楽しいことばかりなわけがなくて、大変なこともたくさんあっただろうに、最後に私が覚えているのはかのちゃんの天真爛漫な笑顔と真風さんへのまっすぐな愛。

 

あなたの愛は美しい。強くて美しい。

宙組トップ娘役として真風さんの隣を駆け抜けた潤花さんを劇場から見つめられたこと、あなたの光に元気付けられたこと、わたしの大切な思い出です。

ありがとうございました。ご卒業、本当におめでとうございます!

 

 

 

【潤花さんご卒業に寄せて】

行かないで、ゆりかさん

 

 

執筆者は宙組の組ファンですが、今公演では退団されない生徒さんのファンの身でありながら下記の文章を書いております。ご不快に思われる方は閲覧をお控えいただけますようよろしくお願い致します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハイロー東京初日、私の涙腺が予期せぬ崩壊を迎えた。

 

初心者とはいえ、なんとなく「いろは歌なら5文字目までは書けるな」くらいの宝塚歌劇に関する知識を備えてムラ初日を迎えたわたしは、なんとなく「そうなのかもしれない」と真風さんの退団を予想していた。それでも、ご本人たちからの発表を受けて迎えた1015日はワケが違った。

 

 

東から西へ北から南へ

二人で巡ろう風に吹かれながら

懐かしい街のあちこちを

 

 

ここでだめだった。バイクに仲良く跨り風を受ける二人を見てぶわっと涙が溢れた。カプリチョーザはもちろん、ハイローの曲も私の涙腺にかなりきた。

 

 

時計の針止めて あなたを振り向かせ 永遠に旅を続けたい

 

 

本当に。本当にそう、そうでしかないと思いながら聴いていた。そうして、ハイローを走り切り、マカゼイズムでまた号泣し、カジノロワイヤルのパラシュート、デュエダン、その後のソロで度々涙し、今日を迎えた。

 

 

 

カジノ・ロワイヤル、大千秋楽前日の6月10日。

 

ありがたくも最終週に観劇できる幸せをしかと噛み締めて目に焼き付けようと迎えたマイ楽で、今まで私が入ってきた中で群を抜く客席の集中力と出会って。それもまた涙腺を刺激した。

 

「君に会えてよかった」

ゆりかさんがこの歌詞にこめた想いのあたたかさと、大きさと、力強さに顔を覆った。演者の皆さんはいつだって本気、だからムラ初日からの皆さんが手を抜いたり、気持ちがこもっていなかったり、そんなことは絶対に無いのに。重ねてきたチケットの枚数分の思い出がわたしの感受性を育てたのか、皆さんの気持ちが日に日に強く美しくなっていったのか。マイ楽の今日、今までで一番わたしの心を揺さぶった。マスクがぐずぐずになる。

 

客席を見つめるゆりかさんが好きで、ゆりかさんを見つめる客席が好きだ。

観客を、宙組ファンを、ご自身のファンを愛おしそうに見つめるゆりかさんの眼差しが好きだ。磨いてこられた男役の美をあますことなくお見せくださるゆりかさんが好きだ。

私が大好きになった宙組が、真風さんと潤花さんの宙組でよかった。寿さんが組長でよかった。この時代の宙組に間に合ってよかった。

 

ゆりかさん、行かないで。まだここにいて。まだ私の大好きな宙組にいてください。

ハイロー初日から何度も心の中でつぶやいた言葉を、涙を流しながら反芻する。それが意味のないことも、私の身の上では失礼に当たることもよくわかって、それでも思わずにはいられなかった。

ご本人の決断を、受け入れて、私も歩くしかない。いつか来る私のXデーを、私はどんな私で迎えられるだろう。

 

……いわんや、である。

私に出来ることはただ、ゆりかさんとかのちゃんと、退団者の皆様への感謝を込めて大楽の配信を見つめるだけ。あとほんのちょっと、ありがとうございますの気持ちを文章にすることはできる。

 

あたたかい愛と、優しさで、客席を包み込んでくれるトップスター。真風涼帆さん。最高の宙組さんとの出会いをくださってありがとうございました。1年間、真風さんの宙組を大好きでいられて幸せでした。もっともっと、たくさん、ありがとうございました。ご卒業おめでとうございます。

 

 

 

 

【真風涼帆さんご退団に寄せて】

桜木さんによって「姫にされる」という現象

 

 

 いよいよ末期だなと思った。いつも「何言ってんだ?」ってグレゴリーアナトリー兄弟を眺めるクレマンみたいな顔したくなるようなツイートばかりしていますが、「ついにネジ何本か外れたんだな?」って思った方きっといますよね?私です。

 

 

 カジノ・ロワイヤル観劇遠征を終えた私は、かろうじて出勤して余韻に浸りながら休日の遠征期間の思い出に浸っていました。本当にもう、幸せすぎた観劇遠征の記憶の数々を思い出し、ついには休憩中スマホ残していた観劇時の感想メモを読み返して感慨に耽るにつれ、ふとついて出た言葉が

 

「姫にされる……

 

でした(笑)なに(笑)

 

(誰かにとってのご贔屓様がそういう存在であるケースがあるということで、私にとってそれがずんさんだったという話なのですが、桜木みなとさんの磨いてきたスキルのひとつかもしれないので敢えてこのタイトルにした。ということでここは一つお願いします。)

 

 これをまぁいつも通り思いつくままついつでズンと投げまして、心優しくリプライをくださったフォロワー様に何か返そうと、そんな5文字じゃなくてもうちょい詳細に伝えたいと思った時、数ヶ月前感じていたまた別の思考回路がズンとでしゃばってきました。だいぶ前に浮かんでいた点と、今さっきこぼれてきた点を繋いで線に出来る気配を感じ、スマホのメモ機能を起動しました。

 

 

『自分の知らない自分。肩肘張ってないただの私。』

 

 

 【ヅカ】という情緒もへったくれもないメモフォルダの中に、ある日のハイロー幕間に残していたこんなダイイングメッセージ(カプチョでずんさんに仕留められるので)。

 

 ずんさんの前だと強がらなくていい、仕事用の私を作り上げなくていい。

 そのままの私でときめいて、好きだなぁと幸せを噛み締めて、飾らない言葉を便箋に綴ればいい。強そうに見せなくていい。しっかりしてそうに見せなくてもいい。いち大人としては弱さになるところを、そのままさらけ出してもきっと大丈夫。

 概ねそんな意図を書き残したメモで、冒頭謎の姫発言とのベン図の重なりを感じた。

 

 

 桜木みなとさんが見せてくださる姿や、聴かせてくださる声、ファンに向けて発してくださる言葉は、私にそわそわしてしまうようなトキメキや物語に登場する少女のような夢々しい感情の昂りを覚えさせる。これを先程の私はおそらく「姫にされる」と定義した。

 

 さてその「そわそわするトキメキ」や「ゆめゆめしい感情の揺れ方」といういかにも女の子らしいものは、「公」の私からは遠く離れた概念であり、「私」だとしてもとっくに少女ではなくなった成人女性である自分や普段の自分を冷静に見つめると恥ずかしく感じてしまう、いわば羞恥の対象。それゆえの気恥ずかしさはまぁまだ慣れないし否めないけれど、そうしたトキメキを抱く自分は、二十代後半まで歳を重ねた私の中でもたしかにそこに「いる」ことになる。

 

 そう、総理大臣だろうと母親だろうと弁護士だろうと父親だろうと先生だろうと学生だろうと、桜木みなとさんの男役芸の前では「ただの人」にすぎない。こちらが社会生活のために着込んできた鎧では防げないのだ。そしてそういった肩書きをかなぐり捨てて、本来の自分らしい感性で心を動かすことができる。そのことの幸せさといったら。

 そしてこれが本当に驚くことで、リアルな恋愛感情とはまた違う、不思議なもので。ずんさんと出会うまでの、今までの私の中にはなかった感情。あの日の四月、ネバセイのフィナーレを初めて観た時に初めて認識したえげつない甘味。こんな私らしくない感情の色が、私の中から溢れてきたことに本当に驚いた。

 

 

 コミュニケーションや認知に関する心理学の考え方の一つに、【ジョハリの窓】というものがある。

 自分が認識している・していない/他者が認識している・していない、の2本の軸でスペースを区切り、自己分析をしていくツールである。

 ずんさんがその一挙手一投足いちフィナーレで引き摺り出してきた「お姫様みたいな私」は、このうち【未知の窓】に潜んでいたもので、ずんさんが磨いてきた「桜木みなと」さんのスキルによって【秘密の窓】へ連れ出されたのだろう。

 たしかにそこにいたけど、知らなかった私。それまでの人生で確実に育まれてきた私の感性の一部。私はよくツイッター上で幸せの表現の一種として「まーたずんさん私の新しい扉開く(怒)」と言ってるが、要はそういうことで。

 ずんさんのお仕事への、客席への、ファンに向けての愛が、ずっと影に隠れていた初めて出会う私を連れてきてくれる。それを気恥ずかしく思ってしまう私だけれど、それもまた私の一部で、それってなんてすごいことなんだろう。ずんさんはすごい。

 

 世間体を気にする自分自身によってずっと閉じ込められてきた「ときめくことが本当は好きだった私」は、そりゃあ突然肯定/享受してくれる存在が出来たら抗えない。そりゃあそうだ。だからずんさんにまた恋をする。ときめかせてくれてありがとう!って感謝したくなる。そしてまた劇場に足を運ぶ。誌面でお言葉に触れる。また好きになる。そりゃ沼だわ。

 

 私の「好き」はどちらかというと、「彼であり彼女が満足して笑顔で役者人生を走りきれるその日まで、心を寄せてプラスな感情を届けて可能な限り見届けていきたい」という感情が根底にある。もちろん男役を楽しんでいる桜木さんが好きだけれど、なんなら男役でも女役でもたぶん構わない。「顔が好き!!かっこいい!!無理!!」と騒ぐけれど、私がずんさんに向ける「激重(ただしプラス)」な感情の由来は決してふわふわした煌きを放つ甘いトキメキだけでなく、真摯な姿勢を感じさせてくださるお言葉や各種媒体からにじむ芸事への真剣さ、私たちに見せてくださるお人柄、ファンに誠実であろうとしてくださっていることが伺えるお言葉の端々など、枚挙にいとまがない。姫にしてくれなくても、ファンへのサービスが辛くても全然ついて行くのに。

 

 ……とはいえ、それはそれとしてときめくもんはときめく。

 男役さんであり、本来はそこにずんさんの中の人がいるとわかっているからこそのどこか冷静な、だけどたしかに幸せだと思える恋。ずんさんが「桜木みなと」さんとして向けてくださる最高のビジネスファンサービスに、ファンとして本気で応えて幸せにしてもらっている。いわゆる「ガチ恋」とかではなくて、だけど確かに恋焦がれている。心身ともに健康でいてほしいと願う。幸せでありますようにと祈る。次に客席から見つめる日のために少しでも胸を張れる私になっていたいと思う。まだまだ好きになって日が浅い私は、まだ繰り返しうっかり恋をしてしまっているけれど、愛していますと言える日は来るだろうか。

 

 

 もう何が書きたかったのかわからないくらい間延びしてしまいましたが、要は「普段は蓋をしている素直な少女のような心」が素直に喜んでいるんだろう、というのが「姫にされる」ということだったのでは?という話でした。私のままの私で、素直な感性で楽しませていただける場所を作ってくれてありがとうございます、ずんさん。これからもその懐の広さに甘えさせてください。

 

 遠征明けでクソデカ感情が止まらない故の謎長文でしたが、お目汚し失礼いたしました。

 

 

3月13日時点でミシェル・バローさんに対して思っていることメモ

 

 

 

 

 とんでもないお役とまた出会ってしまった。そう思わざるを得ないマイ初日から寝て起きて仕事して13日の夜のメモ。

 

この記事には宙組大劇場公演『カジノ・ロワイヤル』のネタバレが含まれます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 はじめて「彼」を観たその直後の私は、桜木みなとさんのプロローグのあまりのカッコ良さとフィナーレの妖艶さと溌剌な笑顔に脳が沸騰してしまい、演じるミシェル・バローさんについて考えられるようになるまでだいぶ時間がかかってしまったなと思いつつようやく頭が働いてきました。

 

 マイ初日を無事に終え、少し落ち着いてから彼について思っていることを今後の自分のためにまとめました。ミシェルさんのことは以下敬称略で書きます。

 

 

 

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 わかりやすく描かれている表層とその一枚下の彼。

 

 ご本人と脚本家の先生のお考えには反しているかもしれないのですが、脚本と桜木さんのお芝居の力とによって、客席のほっこり笑いをたいへん多く獲得しているコメディ担当らしさのあるミシェル。私もその笑い声のうちの一人であり、絶妙な台詞回し、声の質、表情と身体の動きに「ずんさん、すげぇーーー笑ってしまうわこんなん」とご時世を考慮して笑い声を極力堪えつつ堪えきれずにふふと笑ってしまいます。

 ミシェルのどのシーンのどこがどう可愛いのか、どこが面白いのか、それは見れば委細承知といった当然具合、そしてそれはTwitterで「ミシェル」「ずんちゃん」「みしぇる」等で検索していただいたい方が素晴らしいファンの皆様のステキなレポが見つかると思いますのでぜひ検索していただければと思います。

 

 そしてそんな彼のかわいらしく笑いを誘う振る舞いがどうしても強く印象に残るけれど、もう一つ、いやほんとはもっとたくさんの「本当」があるはずで。

 

 彼はデルフィーヌの興味を惹きつけるほどの「熱意」を持っていた、はずなんです。今の世の中を変えたい、若者たちで立ち上がるんだ、……それを、ただ言ってるだけじゃなくて、行動に移して人の心に火をつけて仲間たちを増やしていけるほどの熱意が。

 

 ナイトクラブでの銃撃戦の最中、ボンドに話しかけられた時でさえ、「世の中を変えたい。それだけだ!」みたいなセリフを澱みなく言い切って駆けていったミシェル。それも決して嘘ではなくて、彼の本当なんだと思う。

 

 本編で3回、歌うシーン。

 はじめは「ミシェル」としての登場シーン、(やたら歌の上手い)学生運動のリーダーとして、デモで先頭を切り学生たちの真ん中で情熱込めて歌い上げるシーン。自由、平等、今の世界を変えたいと団結している若者たちの真ん中で、強く歌い上げるミシェル。

 2度目はバルコニーでデルフィーヌと会う前。ちょっとその後の怒涛のオモシロ展開のインパクトで本当に歌っていたか自信ないけど、波の音をBGMに黄昏てたシーンは少なくともあったはず。この時もうすでに、「ここまで来てしまったけどどうしよう」「学生運動に戻れるだろうか」焦燥というか諦念みたいなものもチラついていて、どうしたらいいんだろう、っていう気持ちが滲んでいた。

 3度目は2幕、縛られて運ばれている時のソロ曲。この場面ではもう既に登場時のデモの情熱は冷めてきていて、でもずっと求めてきた理想は抱えていて、「自由、平等、博愛」「一度見た夢 同じ夢はもう見れない」みたいな歌詞があった。(記憶に自信がないのはもう何度も書かなくていいですかね、全てうろ覚えです……。)最後に、「誰を愛するのか」「明日を信じていたいのに」といった旨の、痛切な声の響き。さすがの桜木さんの歌唱、ミシェルの戸惑いとか切実さとか、どうしたらよかったんだろう、っていう悔いみたいなもの、でも自分にできることはしたんだよなぁ、みたいな感情もあったんじゃないかな……

 

 拷問室でデルフィーヌに会って、素直な思いを打ち明けるミシェル。ノルマンディの漁村で生まれた彼が、下町育ちのアナベルとの方がくつろぐ……のくだりはまあきっと皆さん色んなご意見があるとこかなとは思うのですが。「そんな世界を変えようとしてたんじゃない!」って怒るデルフィーヌ。どうなのかな、このあたりでミシェル、今現在の自分の気持ちを整理してたりするんだろうか。結局アナベルが引き取ってくれるところではデルフィーヌの方を寂しそうに見つめてたけど。

 

 そうして最終的には真実の愛に巡り合って、とそこはもうねアナベルちゃんありがとうねみたいな気持ちがあったりもするんですが、

 

 世界を変えたい!!という熱意についてはどうなったん???

 

 というのが昨日からずっと気になってるんです私は……!!

 3回も歌って語ってたにしては、最後そこらへんは特に触れられずに終わってしまうのが本当になんかもう、アーーーッッまあ主役サイドじゃないもんねだけどさぁぁあ教えてくださいその心境!!!って感じ……

 

 アナベルちゃんと二人逮捕されて連れて行かれて、そのあとの彼がどう思い、どう考えて、どんな道を選んで生きていったのか。知ることのできる機会があったらぜひ知りたい。私がファンじゃなくてずんさんの友人だったらLINEで聞いてた。LINEやってるか知りませんが……

 

 

 まだまだ書きたことあるのですがキリが良くまとまったのでここまでにしておきます……学生運動のこと、五月革命のことを勉強してもっと考えたいな。

 

 

プチずん断ち

 

 タイトルまんまの日記です。種類によって、桜の咲く季節がやってきましたね。昔から桜は大好きな花でしたが、今年はより一層思い入れが違います。

 

 さて、こちら、ほんとにただの日記、備忘録です。いつか宝塚歌劇に興味を持って、「もしやこの感情……あの人は……ご贔屓様!?」と思うきっかけがあった人に何か共感できるところがあればネットの海に投げておこうと思い投稿しました。

 

 

 

 半年に1、2回観劇……ぐらいのゆるい宝塚ファンをしていた時代がありました。我ながら信じられない……

 BS放送や母のお友達さんから貸していただいたDVDを観る時期を経て、2019年の月組さんが初観劇。コロナ禍となり足は遠のきましたが、ご縁と予定が合えば月組さんと星組さんの公演に運ぶ日々。

 当時からゆるく応援していた方を下げたいわけではないのでここでお名前を出すのは控えますが、好きなジェンヌさんはこの頃からいました。それでも贔屓という呼び方には歴々の宝塚ファンの皆様の想いが詰まっていることを感じていたため、そのように呼称することは控えてゆるりと好きでいました。

 

 先日スカステ1stランを果たした2022年の宙組公演『NEVER SAY GOODBYE』で初めて宙組さんの作品を劇場で観劇したことにより、私の生活は一変。(このあたりは別の記事に事細かに書いてますので、もしご興味がありましたらご参照ください。)

 

 今日まで概ね1年の間、桜木みなとさんのことを思い出さなかった日は1日たりともありませんでした。

 自分の中の、圧倒的頂点。数字や評判やその他もろもろで他のジェンヌさんと比べること自体がそもそもナンセンス。気がつけば私の脳内の玉座で当然のようにくつろいでいらっしゃったずんさん。程度の差こそあれ、自分の中のさまざまな瞬間が、ずんさんを軸に回っていくような感覚。今日もお稽古を、公演を頑張っていらっしゃるんだろう、だから私も頑張ろう……そう心の中で呟いて勤怠カードを押し付けた回数は両手両足ではとても足りません。好きとか尊敬とかのシンプルな言葉だけではまとめられない、私の語彙では語り尽くせないほどの幸せな言葉でにえたぎる感情。あぁこれは私の中でもうご贔屓様と呼んで差し支えない。そう思いました。もちろんこれは、私の中で限定の話ですので、個人の見解です。私が私の使う言葉を、私の中の定義で決定しただけの話です。

 

 色んなことを考えて、ずんさんが好きだなぁと思い出に浸って、もっと早く出会えたらと何度も涙して、劇場であふれるほどの幸せを受け取って、毎日を生きるパワーをもらって。こんなに愛してもらって愛させてもらっているけれど、私の人生と貯金と収入の全ては捧げられない。それが私の出した答えでした。

 不義理に感じる方もいらっしゃるかもしれません、「100%捧げないならご贔屓様って呼ぶな!」というお考えの方ももちろんいらっしゃるでしょう。嫌な思いをさせてしまっていたらごめんなさい。ブラウザを閉じていただき、ブロックなりリムーブなりでご対応いただけますと幸いです。

 

 仕事も私生活も頑張る私で、「その時その時の割ける範囲の」私のリソースを全部ずんさんに向けたい。人と比べるんじゃなくて、私が私とずんさんに胸を張れる私かどうかを基準にしよう。貢献と呼べるような形で応援することは出来ないけど、プラスな言葉をたくさん届けよう。宝塚ファンとして色んなものを観たり聴いたり見たり聞いたりする中でモヤモヤする度に、こう思い直して自分を取り戻すようにしています。

 

 

 

 長い前置きでしたがそういうわけで、とにかくこの概ね1年間は『ずん』がとどまるところを知らずに私の心の体積をガンガン独占していったわけです。

 落ちたての沼に自らずんずん沈んでいったので当然の帰結なのですが(笑)あまりにもノンストップだったので本当に凄まじい勢いでした。もちろん潮の満ち引きみたいなものはありましたが。ずんさんに拍手。一級遠洋漁業漁師。そしてそれはそれとして、仕事も好きでがんばりたい、家族も友人も大事に過ごしたい、そんな私が今日まで変わらずにおりました。

 

 

 そんな折、私事ですが組替え【転職ではなく勤務状況がガラッと変わるの意】が決まりまして。今の組(概念)の皆さんには本当にお世話になり、また組替え先(概念)でも気持ち新たに頑張りたいという気持ちが強く芽生えました。

 

 そこで、仕事に気持ちを集中したい期間は『プチずん断ち』をすることにしたのです。

 全く情報を断つとか、待受や部屋に飾ってある写真を変えるとかまではしませんが、ずんさんのたくさん出ている映像や新規の情報を見るのを控えてみる。歌を聴くのは少し遠ざけてみる。もちろんベースとしてはずんさんにパワーをもらい毎日頑張っているのですが、思考のチャンネルを宝塚に(正確にはずんさんに)回しすぎないように、仕事のチャンネルにすぐ替えられるように。そんなイメージです。

 

 そして概ねひと月。

 カジノロワイヤル初日を目前になんとか公人としての己のメンタルが整ったので、私人のわたしがのそのそ起きてまいりました。それが丁度、今月頭に発売された『anan2338号の包みを受け取ったタイミング。

 

 ……プチずん断ち、実はちょっと「私よ、あわよくばこれを機に落ち着け」と思いながら取り組んでたんですよ。好きすぎるだろ、と。惚れたら火傷するタイプの男(役)の沼にずんずんはまっていった自覚があったので。俺に惚れると火傷するぜ!ってどこかのずんさんおっしゃってましたし。好きだけど離れた方がいいかな?みたいなの人間たまにあるじゃないですか、二律背反ってやつです。というわけで、物理的に距離取れば落ち着くんじゃん?と少し思ったり。

 

 落ち着くわけがなかった。そう思い知らされました。

 久しぶりに新規ビジュアルの最新ずんさんを目の当たりにした第一声はほとんど「「「悲鳴」」」。

ツイッターで書いたとおり「初期の赤緑のポケモンの鳴き声」みたいな音声が出て雑誌を静かに閉じる私。開くとそこにいるイケイケなずんさんとスマートなずんさんとエキサイティングなずんさん。記事はもちろん皆々様お買い求めの上すてきなお言葉をたくさん浴びてくださいませ。私は「大好きだなぁ……」としみじみ思いました。まだ一回読んだだけでじっくり読めていないので、改めて読もうと思います。

 

 そうこうしていると『歌劇』3月号が発売。色々ありまして昨日ようやく手元にきたのですが、ポートレートで脳が沸騰。ポスカください。好みすぎてどうにかなるかと思いました。カッコよさメインでかわいさも添えてあってやんちゃさもひと匙入っていて色気…………何の話をしているんだろう。マカゼイズムのお写真ももちろん、えと文でイヒイヒ笑わせていただいて、組レポで合掌。2部あった方がいいかな。買おうかな。

 

 

 プチずん断ち、仕事面とのコントロールには良かったのですが、久しぶりに浴びた時の破壊力に耐えられませんでした。また繁忙期に定期的に取り入れたいと思いますが、プチずん断ちしてもずんさんへの想いが落ち着くことはないようです。報告は以上です。

 

 

「ずんさんの何かを観賞する」ことを「ずんする」と動詞化し、動名詞と扱った上で略称として「ずん断ち」と呼称しています。敬称略。

 

夢がさめるなら

 

 

 

はじめてムラの初日から通っている公演が、無事に4分の3を完走した。

 

この状況下で、仕事の日も観劇の日も毎日祈るような気持ちでスマホを握りしめ、中止の連絡がないことに胸を撫で下ろす日々。退勤してからタイムラインでみなさんのレポを拝見し、今日も幕が上がって下がったんだ、と安堵していた。

 

東京公演が始まる前に、トップコンビの退団日発表があった。まだまだ宝塚初心者だが、初心者マークはほんの少し色褪せ始めてきた私はムラの初日から少し覚悟が出来ていた。そして、あぁもしかしたら、という気持ちでお芝居とショーを観ていた。

 

東京最初の観劇時、案の定今まで泣かなかった所で涙がぼろぼろこぼれた。お芝居でも、ショーでも、隣の人にごめんなさいと思いながらハンドタオルで目元を拭い続けた。

 

 

 

東京公演も折り返したところ、ある日のフィナーレで突然の寂寥感が胸に迫った。

 

芹香さんの歌う『ミ・アモーレ』、ノスタルジックな音楽と情感溢れる歌声に、あぁこの夢はさめてしまうんだと泣きそうになった。

 

ミ・アモーレは、その、ずるくないか。

桜木さんファン研究科1年の私でさえこんなに涙が溢れてくるのに、いわんや、というやつだ。

 

この美しい夢がさめてしまうことが怖い。予定通りに幕が上がって、そして下がってほしいのに、明日が来ないでほしい。大千穐楽の配信を最後に、この夢はさめてしまうんだ。『あなたを振り向かせ、時計の針止めて、永遠に旅を続けたい』、ローマの歌詞がこんなに胸に刺さるようになるなんて、初日は思っていなかった。

 

 

 

私の夢はいつかさめる。

もうとっくに「子供」じゃなくなってから桜木さんに出会った私はそんなことはじめからわかっているし、心はともかく頭は理解している。

 

幕が下りて灯りがつけば、芝居は終わる。

どんな夜も明けるように、いつかは終わる。

どんな素敵な夢だって、はやくさめたい夢だって。

 

それが仕方のないことなら、いつかこの夢がさめるなら、せめて思いっきり酔いしれたい。悪酔いでも構わない。あなたが全身全霊で魅せてくださる夢に、届けてくださる愛に、最後まで全力で応えたい。

でも許されるなら、私は私のままで……「私」を捨てずに、桜木みなとさんという暖かく鮮烈な光を道標に、私の人生を逞しく爆走したい。無理な応援をして長続きしないよりも、身の丈に合った応援をして、せめて心だけは最後までお側にいたい。

すべてを捧げられないダメなファンでごめんなさい、貢献やお力添えなんて言葉には到底届かない、ささやかな応援しかできない弱いファンでごめんなさい。そのぶん私の私が私で在れる範囲をよけておいた、その残りのぜんぶを差し上げますから、どうか受け取ってください。

 

そしてその時が来たら、きっとたくさん泣いてしまうけれど。胸を張って会いに行ける私でしゃんと背筋を伸ばしてお見送りできるように、あなたのファンという肩書きに恥じない私でいたい。あなたと一緒に走った日々を支えに、それからの毎日を駆け抜けられるように。

 

 

 

今からこんなことを考えてしまうくらい、私の中でこの公演が特別で、真風さんと潤さんとの出会いがあたたかく素晴らしいもので、退団者の方々と、退団者のファンの皆様との出会いが本当に嬉しくて。

みなさんのファンの方にも、私がいま反芻していたような気持ちを抱いていた方がいらっしゃるかもしれない。

 

 

留依さん

希峰さん

琥南さん
惟吹さん
花城さん

 

そしてタカラジェンヌ人生のゴールを決めた真風さんと潤さん

 

今日からの毎日が、みなさんと、みなさんのファンの方々にとって、どうかあたたかく優しい日々ありますように。

 

きっと今までで一番配信見ながら号泣するんだろうなと思わずにはいられない。

 

大好きな皆さまと、皆様の大切なファンの方々が、幸せでありますように。

 

 

Never Say Goodbyeで宙組にサヨナラが言えなくなった話

 

 

 宝塚が好きだ。でも私は、複数回は行かないし、配信でも楽しめればおっけーだし、ライトな趣味として楽しんでいるし、これからもそうだと思う。

 

 そう、つい半年前まではそんなことを考えていた。これは、度重なる偶然を『運命』と解釈したくなるほどのご縁に恵まれたライトなヅカオタが、宙組のとある方の深い深い沼にノールックで両足を突っ込んだ記録である。

 

 

 

 ご縁があり、急遽Never Say Goodbye観劇が決まった私。宙組さんには今までご縁がなく、はじめての観劇である。仕事が激務期間だったため、当日、なんとしても寝坊だけは避けなければ!!と目覚ましをやたら刻んでかけた。前日までの疲労のせいかなかなかベッドから出られずのそのそと起床すると、遅延情報に気づき急いで最低限の顔を作り上げて玄関に。

 

「ねぇねぇ今日帰ってきてさ、○○ちゃんの会入る〜!!って開口一番言ったらどうする?笑」

 

という冗談(今思えばもうこの時点で宙組で一番気になっていたのでは?とも思う・画面でしか見たことがなかったから気軽に愛称にちゃん付けが出来ていた)を母にかまして軽くあしらわれ、日比谷へ向かう。初めて見る組にわくわくしながら、そこまで遅れていなかった電車に感謝しつつ劇場最寄りへ降り立った。

 劇場までの道中、いつもよりスミレ色が多く目につく。宙担の皆さまだ。

 

 ネット上でのチケットお譲りは初めて、そして宝塚の沼ではライトに水浴びをしてきたため、フォロワーさんに会うのも初めてだった私は直前までそわそわしていた。服装の特徴を伝えて待ち合わせ場所で待っていると、美人が話しかけてくれた(お譲りだけに止まらず、ご一緒までしてくださる女神のようなフォロワーさん)。ホッとしながらも今度は異なる緊張感のもと劇場に入る。お譲りしてもらった席は過去の観劇で一、ニを争う良席。会話が出来ないため、有り余るドキドキを必死に表情で訴える。こんな近くで初宙組さんを見てしまっていいのか……?何か大変なことでも起きてしまうのでは……(正解)

 

 

【当日座席に座るまでに予習できていたこと】

スペイン内戦が題材の再演、一本物

みねりちゃんがエトワール

ずんちゃんの前髪ガチャなるものがあるらしい

 

以上。内容についてはほぼゼロ予習。「もうここまで来たら新鮮な驚きを楽しもう」と、パンフレットにも目を通さずに着席。

 

 

 

 個人的に思い入れのあるサグラダ・ファミリアの背景に懐かしさを感じつつ、会場で初めて聞く真風さんの開演アナウンスにワクワクが増し、いざ始まると「ん???じゅんはなちゃん???だよね???」二役だったことをその場で初めて知ったわたし。トップ娘役さんお忙しいのに、お孫さんの役もされるなんて!とびっくり……

 

 まずみねりちゃんの登場にうっかり拍手しそうになる私。響き渡る美声に感動、心の中でスタオベしてた。マタドール姿の芹香さんに「キキちゃんさんだ!!」と興奮(笑)若々しい青年役がとてもお似合いだった。ピスタチオグリーンのドレスを着て下手側にいた水音志保ちゃんに目が惹かれ……(この時は名前がわからず、最近知りました)宙娘みんなかわいい〜〜ときゅんきゅんしながら煌びやかなシーンを見つめる。

 

 ココナツグローヴでもうつよつよなかのちゃんが観れて既に大満足なわたし、「頭の中身が空っぽだもの!!!」でもう大歓喜、「うるっさいわね!!!」の言い方とか強気すぎて好きだし、「フィルムを返してもらうまで、サヨナラは言わないわ」でタイトルを想起させる仕組みすごい……。バーでの歌も力強くて良いお声で、でもちゃんと女性らしいお歌で、私がスカステ番組で楽しく拝見してた潤花さんの舞台でのお姿、きらきら輝いていました!

 

 そして我が家では敬意を込めての愛称「まかじぇさん」と呼んでいるトップさん。歌のお方という印象はそこまで強くなかったのですが、デラシネの歌唱で「いや歌のお方なんだ!!!真風さん!!!」と感激しました。影が背景に映る演出もすごい!と興奮。デュエットも綺麗〜〜!!

 

 

 ……さて、ひと通り宙組さんを堪能し、行ってみた〜いバルセロナのあたりで私の頭に過ぎったことがあります。

 

『ずんちゃんまだ???キキさんは居る。みねりちゃんも居る。え、桜木さん絶対目立つとこにいるだろうに私見逃した????????』

 

 桜木みなとさん。宝塚初観劇の日、帰路でホームページを開き真っ先にお名前が目に留まり、出身地を想起させる芸名に一度で名前とお顔を覚えた男役さん。この時はまだライトに知っているだけだったため、テレビの向こうの芸能人を呼ぶ感覚でちゃん付けができていた。

 かなり地元を押してくださってる地元出身のジェンヌさんということもあり、宙組さんを観に行ったら見なければ!と意気込んできたため、チラチラ探していたのに。番手の話をするのはあまり好まないのですが、桜木さんは3番手……バイトしてるわけないけど、いや、もしかしたら見逃したのかもしれないと焦る私。思い返せばこの時から既に私はずんさんの掌の上だったのかもしれない。

 

 開会式の場面では合唱とスパニッシュな踊り子さんたち、若者たちのフラッグに感動しつつも、一呼吸置いて『バイトをしてる桜木さん(可能性)』をオペラ無し俯瞰で必死に探す私。居ない……いや私が判別できてないだけ……!?と混乱しつつも、開会式が圧巻でそちらもちゃんと観たい、と感情が忙しない。一旦探すのは諦めてストーリーに集中することにした。

 

 エレンがマタドールに囲まれてご満悦、かわいいな〜とか思ってたら突然凛と響く「それは難しいな」……

 

 驚いてオペラを外し舞台全体を見ると、そこには満を持して登場した桜木さん。よかった、見逃していたわけではなかったらしいと胸を撫で下ろす。

 

『わ、悪そう〜〜〜!!!』

 

 どう見ても悪役、素化粧だとかわいらしい目をしてらっしゃるのが嘘のような鋭い眼光。暗めのドーランがよくお似合いで、そしてなんと言っても

 

『黒の……革の……ブーツ……!!!』

 

革のジャケットにスーツルック、どうしてその組み合わせで膝丈まであるブーツなのか。革靴じゃだめなのか。なぜ革のブーツなのか。膝まで丈は必要なのか。何もわからないが、なぜか私の好みへ的確に刺さった。今まで膝丈のブーツにこんなに心が動いたことがなかったので、初めてこじ開けた扉だ。ブーツを選んでくれたのが先生なのか衣装部さんなのか桜木さんなのかは私には分かりかねるが、金一封をお包みしたい心地になった。ありがとう膝丈のブーツを選んでくれた方。

 

 「けぇがァすなよ」の歌い方とか、「そのカメラを」の「カ」の言い方とか、圧力を感じる発声で凄みを感じた。こんなにもジョルジュと衝突して始まるということは、彼はジョルジュに絆されていき最後は共にスペインのために戦う展開になったりするんだろうか?と思ったりもしたが、そんなことはなかった。最後まで欲望に忠実な男でしたね。

 

 カメラをよこせ!とすったもんだしてるところでも、とにかく高圧的で嫌な奴〜と思いつつ。市長が現れ、クーデターが起きたことを告げた。

 内戦勃発、このナンバーの最初に入るコーラス「クーデターが、」この音の重なりが私の耳にびりびり響いた。

 ココナツグローヴ、バー、開会式、どれも合唱は素敵で、「これが宙組さんのコーラスかぁ……!」と思っていたのに。ここに来て、圧倒的な厚みの大合唱が私を襲う。愛する祖国を守るために立ち向かうこの曲に、バルセロナの人々の気概が溢れ出るこの曲に、生まれて初めて合唱の圧に押し込まれ座席にめり込む体験をした。市長歌うま……と思うのも束の間、歌ってる人たち全員が上手い……

 旗を手に、バルセロナを守るんだアギラールが市民たちの中心へ。もちろんお芝居であることは頭にあったけれど、中心に立つ桜木さんを組子のみなさんが信じて頼っているのがひしひしと伝わってきて目の奥が熱くなった。この日の私はまだ、ずんさんがとても素敵な方だということを知らないのに。

 

 マタドールたちが去り、ヴィセントは残り、市街戦が始まる。この時、真ん中に躍り出てきた女性戦士の凄まじい歌声に私は目ん玉を見開く。彼女は誰だろう、私が知らないパワフル系の上級生娘役さんなのだろうか。宙組さんには歌うまな娘役さんが揃っているんだなあと感激。

 市民たちの、銃を抱えての激しいダンス、そしてそれを歌いながら踊る、歌い上げるコーラスの美しいこと。盆が回ることで躍動感を演出しているのだろうか、戦いの最中、アギラールが現れるとついそちらにオペラが向いてしまう。そう、このあたりから既に右足を桜木沼に持ってかれていたのである。何か喋るんだろうか、オペラグラスで必死に追いかけたところ、銃で上手側を一発狙って特に台詞は無く去って行った。

 

 本筋の感想に話を戻そう。無事に反乱軍を撤退させることに成功した時、思わずガッツポーズをしそうになった。サグラダ・ファミリアの地下の場面で主人公側チームの主要なメンバーの紹介が行われていたが、本当に残念ながら宙組のことを知らなすぎた。ただ、「ハンス〜!」だけはなんとなく印象に残った。

 エレンの「あの人のどこが 私よりいいの?」がすごく痛切で……字面だけで見ると高飛車というか、すごく嫌な女になってもおかしくないのに、みねりちゃんのエレンの言葉はどれも素直に受け止められた。教会の地下で愛を確かめ合うジョルジュとキャサリンの場面で、二人がどうかハッピーエンドであってほしいと強く願った。

 

 訓練の場面、軽快な音楽、銃を用いたダンス、困難に挫けずに立ち上がり続ける市民……どれも素晴らしいけど、どうしても私はいい歳した大人なので「僕たちも銃を取って〜 戦列に加わる〜♪」だけはどうしても!!だめ!!!って止めたくなってしまった。

 

 そしてアギラール!!!来た!!POUMにめちゃくちゃ条件反射みたいにキレてて「おお……」ってなった……。「お前たちの主義主張の争いなんかに巻き込まれたくない」がその通り過ぎて心の中で拍手。ジョルジュたちの歌に圧されて去っていくPUSCのみなさん、後半で味方になったら激アツだなぁと思いながら捌けるのを見ていた。大合唱にまた座席めり込みを体験して1幕が終了。

 

 

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 幕間、急ぎ外に出てお手洗いを済ませてから劇場に戻るまでひたすら「ヤバイです(いい意味)」「いやほんとヤバい(いい意味)」「宙組やばいですね?????(いい意味)」と、お芝居とコーラスの圧力をひたすらフォロワーさんに語りかける私。ラ・パッショナリアが留依蒔世さんと知り驚愕する私。フォロワーさま、ほんとにお世話になりました……

 

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 2幕……2幕!!まずめちゃくちゃサンジョルディがハマった……わたしに刺さった……そしてずんさんを探した(X回目)。アツさ感じました〜〜これが今の宙組さんの熱量!!ショーも見てみたいなぁなど思っていました。突然伝説の人物になるトップコンビにもう驚かなくなったあたりで私も宝塚ファンに加わったんだなぁと。笑

 

 鳴り響く銃声に、まさか期待する日が来るとは思いませんでした。言ってることだけ抽出すると、ジョルジュもアギラールも同じ軸なのに、高圧的に支配しようとしてるからかめちゃくちゃ対立してしまう両者。内戦。クーデター、極限の状況下で仕方ないのかもしれないが、どうしたら団結してスペイン共和国を守れたんだろうかと思わずにはいられない。(これは今思ってる感想です、すみません)

 スパイ()を弾劾するアギラールたちPUSCに、裁判は開かれないのか、法律を無視するのか?と詰め寄る民衆。言ってくれないかな〜と思っていたセリフがまんま出てきてびっくりしました、「我々が法律だ!!」ここのお歌もすごい、力を入れて発生した音が、音階の話じゃなくて聴く側の体の深くに音が下がっていく。

 

 

 

この辺りからすみませんあの、アギラール記憶媒体のスイッチ握られてたみたいで、アギラール関連以外の初見時の記憶が虚です……本当にすみません……

 

 

 

 タリック……強く生きて……って思った仲間割れの場面。カマラーダの歌唱が沁みて……これが真風さんと芹香さんが一緒に立つ宙組なんだなって若手のみなさんの表情を見てすごくたおやかな気持ちになりました。

 

 ラジオ局の場面のインパクトすごすぎて無理でした。鎮静剤……あの体勢で……?と、キャサリンが心配なのと、こう、シンプルなときめきの2つの意味ですごくドキドキしながら見つめていました……めちゃくちゃ弱みで脅したじゃんご協力ありがとうって口だけだよ……

 そしてキャサリンの『愛の真実』、旗を剥がして十字架が出てくるところも、情感込めて、弱っていることとしっかりと歌うことを両立させていてすごい、と涙ぐんで聴いていました。そして、2回目の観劇からはまた違う気持ちでこの歌を聴くことになるのですが、それはまた。

 

 サンジョルディ2回目!!アギラールがキャサリンの腕を操っていやーーーーな笑みを浮かべてるのがほんとにありがとうございました(?)。流れで席外しちゃってまずびっくり、そしたらジョルジュが颯爽とキャサリンを奪還……いや、怒るんかーーい!!!「さぁがぁせぇえ!!」に込められた苛立ちがすごい。

 

 市街戦IIのコーラスの滑らかな音階の推移と隊形移動のすごさにまた座席へと埋め込まれた。そしてそこに現れるアギラールと警察隊……タリックを利用してやろうというギラギラした目線。そしてヴィセントの実家にタリックを送り込んで蹴倒して乗り込んで……さ、まさかね、そんな、という死に方。

 もし死んでしまうならもっと劇的な、ドラマチックな死に方をすると思っていた。そして、どうあがいても本筋的には悪役なのに、「もうアギラール見れないの!?」と残念に思ってしまった。ひっそりと小さな動作で撃たれたのに、その死に方が上手すぎて……

 

 ジョルジュとキャサリンの別れに涙したのも束の間、もうフィナーレまで出てこないと思っていたアギラールが(というかみなさんが)出てきて大混乱。アッ走馬灯的なあれか!と理解するのに数秒。涙ぬぐいながらラストのシーン、意外と早くせり上がってくる歌唱指導、待って??まだ感情整理できてないから待って???

 

 

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 そして芹香さんの歌唱指導へ。すんげーーーキラキラしてました。あたたかい輝きが溢れていた。同じお歌だけれど、中止になってしまった大劇場公演を思い起こさせる、「僕らの力で闇を晴らそう」の歌い上げ方がじーんと響きました。

 ロケット!!!で!!!やっと手拍子ができたんです、ずっと手拍子したかったんです大歓喜!!!月組産オタクのさがなのかな……と思うなどした。当然ながらほとんどお顔と名前がわからず、無邪気に全体を見渡しながら「がんばれーーー!!」と思いを込め全力で手拍子しました。

 

 フィナーレC。観劇後の私の遺言です。

 

 真風さんがセンターでカッコよく現れ、帽子を深めに被った男役さんがズラリ。やっぱり初めて見る組だからね、真風さん観よう!とはじめは真風さん見てたんですほんとです。

 ここで先ほどの僅かな予習「ずんちゃんの前髪ガチャなるものがあるらしい」の罠が炸裂。

 

(あっそういえばずんちゃんの髪型……お帽子でもわかるかな……………………。)

 

 予想を遥かに上回るときめきをアギラールへ覚えてしまっていた私は、ずんちゃんに危機感を覚えていた。見ない方がいいんじゃないか。危険だから。そんな黄色信号を嘲笑うように紅く輝く鮮やかな衣装と帽子の狭間へ引き寄せられるオペラグラス。帽子の影に潜むギラついた眼差しを見とめた瞬間、身体中が沸騰したかのように錯覚した。カッコいいなんて言葉に収めきれない、こちらの心のやわらかいところを刺すような凛々しい表情で振りを決めたかと思えば、官能的な笑みで翻弄して、掌で転がすようにわたしを蹂躙していく。今まで数々の男役さん方のカッコいい姿を見てきたはずなのに、生まれて初めて『男役さんの色気』というものを理解したらしく、頬が熱くなる。体が甘く痺れる。

 

 ここから先は誇張ではなく、桜木みなとさん関連の記憶しかほとんどない。恐ろしい……

 

 フィナーレCで袖へ捌けていくその瞬間まで私を捕らえて離さなかった人。怖い人。素敵な人。なんという。オペラグラスから手を離し、高鳴る心臓をなだめるように右手で胸を押さえつけながら麗しい群舞を見守る。目には映るのに、先ほどまでの破壊力で前頭前野がやららている。だめかもしれない。いや、もうだめだたぶん。

 

 曲調が変わり、ムレータを携えた男役さん方が階段を駆け降りてくる。待ってくれ。もう再登場してしまうのか、もうちょっと整えさせてほしい。お帽子を脱いでおられる。大変だ。だめだ、助けてくれ。

 

 ムレータをぶん回す真風さんを見ようと思っているのに、オペラグラスは下手に寄っていく。さっきの男役の色気フィーバーみたいな表情管理とは別人のように、すごく楽しそうに、本当に楽しそうに笑顔が弾けている。なんなの???

 

 奇しくもこの日は下手側のお席で、このムレータ回しと娘役さんとのダンスがとても見やすかった。楽しそうな笑顔が追加されたばかりなのに、今度は娘役さんと組む時のやわらかい、やさしい、愛情あふれる微笑みまで見てしまった。「あの娘役さんいいなぁ……うらやましい……」と、これもまた生まれて初めて娘役さんに羨ましいという感情を抱いた。手遅れだ……

 

 真風さんが捌けて、舞台に残った男役さんたちのダンスに宝塚ではあまり見ない振りもあって楽しみつつも、やはり視線は桜木さんに釘付けで。ソロパートを神様からの贈り物でも授かるような気持ちで見つめた。芹香さんと少し組むところも幸せそうな顔で大変良かった。また私が観測した表情パターンが増えた。どうしてくれるんだ。上手に戻り、男役さんたちの爆踊り。アギラールからはとても想像できない、輝きの詰め合わせみたいな笑顔に照らされて思わず笑顔になる。あぁもうだめだな。

 

 デュエットダンスも見たんです……ちゃんと見てはいたんです……

 

 パレード!みねりちゃんのエトワールをしっかり受け止め、階段を降りてくる組子のみなさんにありったけの感謝を伝えるべく拍手に勤しむ。そしてドキドキしながらあの人を待つ。

 階段の上に立ち、降りてくる表情はフィナーレナンバーのように。歌い始める時の、アギラールが戻ってくる一瞬と、お声の深く勇ましい音色を私は忘れない。歌い終わってお辞儀した後の、かわいらしい笑顔も。

 出会ってしまった。出会えてよかった。知ってしまった、宙組さんの良さを。桜木みなとさんを。泣きながら手拍子に励む。絶対にまた来よう。ネバセイはもう難しいけど、次の演目でまた絶対に。

 

 手を振る桜木さんを最後まで見つめて、私の宙組初観劇が終わった。

 

 劇場内では会話が出来ないが、駆け巡る感情を抑えられず、となりにいるフォロワー様に身振り手振りで興奮を伝える。不審者で通報されなくてよかった。この時の手振りを見て、フォロワー様は「仲間増えた(意訳)」と思ったらしい。連れ立って粛々と退場し、劇場外に出た。

 

わたし「聞いてない……

フォロワーさま「(笑)」

わたし「いやほんと、なに、聞いてない」

フォロワーさま「はい(笑)」

わたし「えっ、あの、桜木っ…………み、、、」

 

 最後まで言えなかった気がした(この辺はもう思い出しながら書いてます)。とりあえず外でお話しを聞いてもらい、少し落ち着いてからキャトルレーヴに寄り、予算を設けずにとりあえずビビッときた舞台写真とポストカードを複数ぶん取りレジへ向かう。カフェで向かい合わないよう配慮しながら、フォロワーさんと舞台写真を見せあってこの日の感想を伝えた。宙組さんまた絶対見に行きます!!!と力強く伝え、帰路についた。

 

 

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 この頃わたしは、大きくて、重たくて、大切な、大好きな荷物を肩から下ろした直後だった。端的に言えば抜け殻だった。流した涙の総量で木が育つんじゃないかくらいの、辛くて苦しくて何度も辞めてやろうかと思った試練の期間。職業人としての自分の軸を、心をすり減らした日々で掴み取った直後。そしてまた次の目標を掲げて、少しずつ歩き出そうとしていた時だった。そんな時のこと。

 

 大好きなあの子たちを送り出して、空っぽになっていた私に、「ここからは私と走るんだよ」と桜色の夢の花束を勢いよく叩きつけてきてくださったずんさんに、誠心誠意ついて行こうと思った。待っていてくださったんだと思った。あと2ヶ月早ければ、私の心に空き容量はなかったし、あと数年早ければ、私は自分の心の維持をずんさんに依存し、良くない頼り方をしてしまっていただろう。自分の足で歩ける私になるのを、ずんさんは待ってくださっていたのかもしれない。そのくらい、私の人生で意味がないとは思えないタイミングだった。

 

 後日、この日のことを私は「右足をアギラール、左足を桜木みなとに捕まれ引き摺り込まれた事件」と呼んだ。フォロワー様は「お手本のような沼落ち」とご満悦だった。

 

 いつかまた、はもう翌週に訪れたのだが、その話はまたいずれ。かくして私はこの日、桜木みなとさんに心臓を奪われたのだった。