行かないで、ゆりかさん

 

 

執筆者は宙組の組ファンですが、今公演では退団されない生徒さんのファンの身でありながら下記の文章を書いております。ご不快に思われる方は閲覧をお控えいただけますようよろしくお願い致します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハイロー東京初日、私の涙腺が予期せぬ崩壊を迎えた。

 

初心者とはいえ、なんとなく「いろは歌なら5文字目までは書けるな」くらいの宝塚歌劇に関する知識を備えてムラ初日を迎えたわたしは、なんとなく「そうなのかもしれない」と真風さんの退団を予想していた。それでも、ご本人たちからの発表を受けて迎えた1015日はワケが違った。

 

 

東から西へ北から南へ

二人で巡ろう風に吹かれながら

懐かしい街のあちこちを

 

 

ここでだめだった。バイクに仲良く跨り風を受ける二人を見てぶわっと涙が溢れた。カプリチョーザはもちろん、ハイローの曲も私の涙腺にかなりきた。

 

 

時計の針止めて あなたを振り向かせ 永遠に旅を続けたい

 

 

本当に。本当にそう、そうでしかないと思いながら聴いていた。そうして、ハイローを走り切り、マカゼイズムでまた号泣し、カジノロワイヤルのパラシュート、デュエダン、その後のソロで度々涙し、今日を迎えた。

 

 

 

カジノ・ロワイヤル、大千秋楽前日の6月10日。

 

ありがたくも最終週に観劇できる幸せをしかと噛み締めて目に焼き付けようと迎えたマイ楽で、今まで私が入ってきた中で群を抜く客席の集中力と出会って。それもまた涙腺を刺激した。

 

「君に会えてよかった」

ゆりかさんがこの歌詞にこめた想いのあたたかさと、大きさと、力強さに顔を覆った。演者の皆さんはいつだって本気、だからムラ初日からの皆さんが手を抜いたり、気持ちがこもっていなかったり、そんなことは絶対に無いのに。重ねてきたチケットの枚数分の思い出がわたしの感受性を育てたのか、皆さんの気持ちが日に日に強く美しくなっていったのか。マイ楽の今日、今までで一番わたしの心を揺さぶった。マスクがぐずぐずになる。

 

客席を見つめるゆりかさんが好きで、ゆりかさんを見つめる客席が好きだ。

観客を、宙組ファンを、ご自身のファンを愛おしそうに見つめるゆりかさんの眼差しが好きだ。磨いてこられた男役の美をあますことなくお見せくださるゆりかさんが好きだ。

私が大好きになった宙組が、真風さんと潤花さんの宙組でよかった。寿さんが組長でよかった。この時代の宙組に間に合ってよかった。

 

ゆりかさん、行かないで。まだここにいて。まだ私の大好きな宙組にいてください。

ハイロー初日から何度も心の中でつぶやいた言葉を、涙を流しながら反芻する。それが意味のないことも、私の身の上では失礼に当たることもよくわかって、それでも思わずにはいられなかった。

ご本人の決断を、受け入れて、私も歩くしかない。いつか来る私のXデーを、私はどんな私で迎えられるだろう。

 

……いわんや、である。

私に出来ることはただ、ゆりかさんとかのちゃんと、退団者の皆様への感謝を込めて大楽の配信を見つめるだけ。あとほんのちょっと、ありがとうございますの気持ちを文章にすることはできる。

 

あたたかい愛と、優しさで、客席を包み込んでくれるトップスター。真風涼帆さん。最高の宙組さんとの出会いをくださってありがとうございました。1年間、真風さんの宙組を大好きでいられて幸せでした。もっともっと、たくさん、ありがとうございました。ご卒業おめでとうございます。

 

 

 

 

【真風涼帆さんご退団に寄せて】